おかげさまで糖尿病小話も1周年を迎えました。
この1年の振り返りを、広島県糖尿病協会 理事 山根公則 医師からお送りします!
※図はクリックすると大きいものが表示されます(表示後はブラウザバックでお戻りください)
広島県糖尿病協会ホームページの立ち上げ以来ちょうど1年が経ちましたが、「コロナに振り回された1年だった。」というのが正直なところです。
特に糖尿病患者さんは外出制限に伴う運動不足や食生活の偏りなどで、中には体重が増えて血糖コントロールが悪化したり、テレビなどでは重症化したり亡くなられたりと不幸な報道も見受けられ、心労の多いことでしょう。
現時点(原稿執筆9月半ば)での新規感染者数は、オリンピック開催時期から始まり国内での最多数を記録した第5波の途中(図1)であり、広島県では今月末まで緊急事態宣言が延長されたばかりです。
国民からは「いつまで続くんだ!?」と悲痛な声のある一方で人流は減ることなく辟易しているようにも思えます。
果たしてコロナ禍は限りなく繰り返されていくのでしょうか。
状況は刻々と変化し、この記事が掲載される10月にはどうなっているのかわかりませんが、希望的観測も含めて予測してみたいと思います。
今年春から高齢者を初めとするコロナワクチンの優先接種が始まりました。
図2(https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000809571.pdf)
は7月に65歳以上の新規感染者数をワクチン接種の有無で比べたところ、2回接種者数は未接種者数の10分の1以下になっていることを示しています。
これはワクチン接種によって感染者数が抑えられていることを示唆しています。
それでも「ワクチンを接種しても感染する人がゼロではない(いわゆる、ブレイクスルー感染)でしょ」と言われる方もいるでしょう。
図3は東京都で死亡したコロナ感染者(2021年8月1日~8月20日)96人のワクチン接種状況を示しています。これらのうち約70%が未接種者で、2回以上の接種者はわずか2%に過ぎません。従ってワクチン接種により重症化や死亡が抑制できる可能性を意味しています。
これらの結果から、ワクチンは感染そのものも重症化も防げることが実証されつつあります。また、様々な事情でワクチンを接種できない人もいらっしゃいますが、周囲の感染者が減れば自身の感染機会も減ってくるはずです。医学・医療にゼロはありませんが、それに近づけることは出来そうです。
つい1か月前までは、感染者が増えるなか入院もできず医療が逼迫し重症者や死亡者が増える、ワクチンの効果もはっきりしないと叫ばれる中、漸く光が見えてきたように思います。
9月14日の報道で国内のワクチン接種完了者が国民の50%を越したとあります。ワクチン接種が功を奏するならば、再び皆様と顔を合わせながらお話ができる日も期待できますので、もうしばらく我慢の日々を過ごしたいと思います。