今回はひろしまDMステーション理学療法士 小野恭伸さんにお話しいただきます!
みなさんこんにちは。だんだんと暖かい日から暑い日へと変わりつつありますがいかがお過ごしでしょうか。今回は歩数や簡単に行うことができるウォーキングについてお伝えしようと思います。
みなさんは普段から歩数についてどのくらい意識されていますか?
スマートフォンが普及した昨今、市販の歩数計を購入しなくても、androidの「Google Fit」やiPhoneの「ヘルスケア」といったアプリでスマートフォンを持ち歩いた際の歩数や歩行時間、上った階数などが自動的に記録でき、日常生活での身体活動を簡単に把握することができます。スマートフォンをお持ちの方は1日の歩数や身体活動がどれくらいなのか確認してみると良いかもしれません!
では、1日にどのくらい歩けば良いのでしょうか?
1つの指標として群馬県で行われた「中之条研究」というものが参考にできます。
この研究では、65歳以上の地域住民約5000人を対象に身体活動と病気の関係性について調査し、からだの健康を保つには1日当たり少なくとも20分の適度なウォーキングと60分以上の軽度な活動が必要である一方で、こころの健康には4000歩程度の少ない身体活動でも保てるということがわかっています。歩数によって得られる効果が異なっているようです。
それでは健康を維持するために単に歩数を多くかせげば良いのでしょうか?
一概にそうとも言えず、同研究では運動の質も重要で、速歩き等の“中強度運動時間”(自覚的に“少しきつい“と感じる負荷)が必要とされています。
また、強度の強い運動を長時間行うと、細胞内で活性酸素という有毒な物質が比較的多く発生し、遺伝子を傷つけ、修復が間に合わないと糖尿病や認知症、癌などの重い病気になる可能性が高まるため、「適度な」運動を行うことが推奨されています。
ここまででお話しした1年間の平均歩数と中強度運動時間、予防できる病気、をまとめたものがあります(表1)。
このようにウォーキングを行う際はただ歩くだけではなく、“どのくらいの歩数”を“どれくらいの強度”で行っているのかに着目するという見方があります。
1つの目安として平均歩数8000歩、速歩き時間20分を目標にすると健康状態を良好に保つことができると言われています。8000歩と聞くととても多く感じますが、約1000歩歩数を増やすには時間にして約10分間、距離にして約600~700mと言われており、8000歩を目指すことは難しいかもしれませんが、歩数を増やすこと自体はそう難しくはないように思えます。
このように目標をいきなり達成しようとしてこれまでの生活を大きく変更してしまうと負担が大きくなります。まずは普段の歩数を確認して、「歩数を増やしてみよう!」と思った際は、「平均歩数を1000歩増やす」などのちょっとした変化を目標にし、ウォーキングコースを延長したり、普段の生活の中での移動を車から歩きに変えたりするといったように日常生活を少し変更してみると良いかもしれません。
その他にも気象条件やその日の身体的なコンディションもありますので柔軟に対応することも大切です。
ここまで書いて私自身の「ヘルスケア」を開いて歩数を確認してみると、平均歩数約6000歩、中強度運動時間0分(アプリ上確認できないため自己申告)でした。人に運動を勧めている身でありながら不甲斐ない結果に猛省しています。
皆さんも私と一緒に運動習慣を見直して、日々の生活を改善してみましょう!
※次回執筆機会がありましたら私の歩数の改善点(きっと改善すると信じているので改善点としました。)や途中経過について記載することをここに宣言します。
参考文献)
青柳幸利:【老化と老年疾患-研究・臨床の最前線】高齢者コホート研究の最新成果 中之条研究 高齢者の日常身体活動と健康に関する学際的研究. 医学のあゆみ. Vol. 253, No.9, p.793-798, 2015.
公益財団法人 健康・体力づくり事業財団. “日本ウオーキング協会の取り組みについて”, 2021-09-28, https://www.kenkounippon21.gr.jp/kenkounippon21/katsudo/jirei/dantai/k1528.html, (参照2022-04-18)