今回はカーボカウントについて、片岡内科クリニック 杉廣 貴史 医師からです!                        

糖尿病の血糖管理においては、食後の血糖値を上手に管理することが重要です。食事に含まれる三大栄養素は炭水化物・蛋白質・脂質ですが、もっとも食後の血糖値に直結するのは炭水化物です。
蛋白質、脂質も血糖値に影響しますが、自分のインスリン分泌がある程度保たれている方ではそれほど大きな影響にはなりません。(逆に1型糖尿病など、インスリン分泌が低下している状態であれば、蛋白質や脂質の影響も無視できないものになります。)

食事中の炭水化物量をもとに血糖管理を行っていく食事療法をカーボカウントと言います。カーボハイドレート(炭水化物)をカウント(数える)する方法です。炭水化物は糖質と食物繊維を合わせたものですが、通常は炭水化物=糖質と考えて差し支えありません。カーボカウントには応用カーボカウントと基礎カーボカウントがあります。

応用カーボカウントは、「1単位の追加インスリンで摂取できる糖質量」=糖質比を決定し、食事中の糖質量に応じて追加(ボーラス)インスリンの量を調整する方法です。日々の食事に対して臨機応変に対応でき、血糖管理の改善が得られるだけではなく、食生活にゆとりを持つことができるようになります。1型糖尿病の方には是非とも習得して頂きたい方法です。例を示していますので、主治医の先生と相談しながら取り組んでみてください。

基礎カーボカウントは、食事中の糖質量をできるだけ一定にすることで血糖値を安定させる方法です。全ての糖尿病の血糖管理に用いることができます。

糖質のみに注視するカーボカウントは、カロリーを管理する食事療法よりも簡便に実施することができます。主食(米・パン・麺類)、イモ・カボチャ・トウモロコシなどの糖質の多い野菜、果物、菓子や清涼飲料水などの嗜好品、調味料や揚げ物の衣に含まれる糖質といったところをカウントすれば十分で、糖質をあまり含まない食品については量を気にする必要はありません。とは言っても、蛋白質や脂質の摂取が過剰にはならないように注意して、栄養のバランスをとることを心がける必要はあります。

カーボカウントを実施するにあたっては、食事中の糖質量を把握できることが必須になりますが、一般的な日本人の食生活においては、糖質の8割を主食(米、パン、麺類)として摂取しています。つまり、主食の糖質をきちんと把握するだけでも、血糖値の管理につながります。カーボカウントにトライしてみるなら、まずは自分が普段食べている白飯が何gあるのか?量ってみるところから始めてみましょう。米の銘柄や炊き方にもよりますが、白飯100g中の糖質は37.5g程度になります。主食の糖質量を把握することになれたら、徐々に糖質量をイメージできる食品を増やしていきましょう。