今回は広島DMステーション理学療法士の小野恭伸さんからです!

皆様こんにちは。不安定な天気が続きますがいかがお過ごしでしょうか。私事ですが夏は亡き祖母の誕生日ということをふと思い出しました。私の祖母は数年前に他界しましたが、生前は腎不全で60歳頃から人工透析を週に3回、30年弱続けた、華奢な見た目ながらなかなかにタフな人でした。祖母といえば毎朝のラジオ体操と透析がない日は散歩をすることを習慣としていたことが印象的で、何事も三日坊主な私からすれば「よく続けられていたなぁ」と素直に驚くばかりです。「なんでこんなに続けられたんだろう?」と思い出をもとに分析してみるといくつかの点が挙げられました。

  1. 毎日決められた時間に決められた運動する。
  2. 運動に楽しみを付け加える。

まず①です。祖母は毎朝ラジオ体操を行っていましたが、同じ時間に放送される決められた運動をすることで「やらないといけない」、「何をしよう」といった心理的な負担や迷いを少なくしていたのではないかと思われます。また、夜だと疲れ切っていたり、家のことで忙しくてついつい運動をやらなくなってしまうので運動時間を朝にしていたのも良かったのだと思います。

次に②です。私は大分県の典型的な田舎で生まれ育ちました。両親とも共働きで祖父も農業や林業をしていたため、日中家に人がいないことが多く、家に一人でいる祖母はよく近所に散歩に出かけていました。近所といっても家同士の距離は結構離れています。一見すると大変そうに思えますが、散歩をするというよりも人とお話しやお茶しに行く感覚で外に出ていたように思えます。そのためか長期休暇などで私が家にいるときは楽しそうに散歩に出かけていたのが印象的でした。

その他にも体力を維持しなければならないという目的や、私が思いもよらない理由があったのかもしれません。

今になって考えてみると祖母は上手に運動を自分の生活に取り入れていたように思えます。運動はただ歩くだけではなく、人と会いに行ったり、年々落ちていく筋肉量を補ったり、筋トレによって自信をつけたり、ストレスを解消したり…といったように見方や目的は様々です。私も昼食前後の散歩を日々の楽しみにしており、職場の近くを歩きながら外気温や天気、外の匂い、物音、植物の成長具合など観察するのが日々の息抜きになっていますし、ふとしたことを考えるきっかけになっているように思えます。運動を新しく始めることや継続することは想像以上にとても難しいです。「運動する」と一口に言っても生活への取り入れ方は人それぞれなので、運動の見方を変えてみたり自分なりの楽しみ方を見つけてみる一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか?

-運動継続のコツ-

 運動継続の要因として以下のことが挙げられています。参考にしてみてください。

□時間的余裕

□家族や仲間の存在

□運動習慣を確立させる意欲

□運動による効果や成果の実感

□運動に必要な身なりを整える

□自分に合った運動をする

□心理的に好ましい運動をする

-参考文献-

石野レイ子 他 「成人の運動習慣を継続するための支援に関する実証的研究 -運動習慣の継続要因の検討-」関西医療大学紀要,Vol.10,2016

鍋谷照 他「運動継続のための新しいアプローチ」健康科学,23,p103-116