今回は広島県糖尿病協会 会長 杉廣貴史 医師から、間近に迫った世界糖尿病デー関連のお話です。

最初にインスリンを投与された犬はマージョリーという名前。写真は実は別犬(408号)
バンティング(右)とベスト(左)そして実験に使われた犬。

11月14日はWHO(世界保健機関)が定めた国際デー「世界糖尿病デー」です。今年は新型コロナウィルス感染症のため、関連するイベントの多くが中止となってしまいましたが、世界各地でブルーライトアップが灯ります。

「世界糖尿病デー」は、インスリンの発見者フレデリック・バンティングの誕生日に因んで11月14日に制定されました。

1921年、カナダトロント大学のマクラウド教授のもとで、バンティングは助手の大学院生チャールズ・ベストともに、犬の膵臓から抽出した物質が血糖値を下げることを発見します。生化学者ジェームズ・コリップにより抽出技術が高められ、1922年には人への投与が行われ効果が確認されました。抽出物はインスリンと名付けられ、この発見によりインスリン依存状態の糖尿病患者は生きることが可能になりました。1923年以降インスリンはイーライリリー社、ノルディスク社、ヘキスト社によって生産されるようになります。この3社は、現在もインスリン製剤を開発、製造しているメーカーの系譜に連なります。

インスリンの発見から約100年の間にインスリンの製剤、注射器、注射針は着々と進化し、血糖管理は行い易くなってきました。これからの進歩に期待して日々の血糖管理を頑張っていきましょう。

写真はUniversity of Tronto librariesの「The Discovery and Early Development of Insulin」から